1990年代後半にアジア諸国は好景気に沸いていたのですが、市場規模が元々小さい上に
金融システムが非常に脆弱であったため、投機筋の餌食に会いました。
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これによりアジアの国々が深刻な通貨危機に見舞われることになったんです。
外資が一斉に資金と一緒に引き上げられたらたまったものではありません。
あっという間に外貨不足になってしまい、外貨建ての支払いが困難となりデフォルト寸前に追い
込まれることになります。今現在アジアだけでなく欧米諸国も厳しい状況にあります。
当時おこったアジア通貨危機は、数年後にはいくらか改善しました。
しかし、金融に関しては脆弱である点は変わりありません。
今では経済成長著しいインドも同様の問題をかかえていました。
外貨不足が抜本的に改善されていないため自国通貨安が進み、インフレが加速しています。
過去を振り返ってみますとインドの不良債権問題は90年代に入って急速に悪化します。
打開策としてインド政府は、1991年以降に過剰なまでの保護主義的な政策を廃止します。
そして、インド国内の市場を外国に向けて開放を段階的に進めていきました。
これにより自動車や家電製品など外国企業がインド市場への進出が加速しました。
しかし、それまで規制によって守られてきたインド国内の中小企業は業績を悪化させました。
当然のことながら外国企業に歯がたたなかったのです。
するとどうなったか、これまでそうしたインド国内の中小企業を中心に融資をしていた商業銀行
の債権が必然的に焦げ付くようになっていったのです。
そうしたところに前述したアジア通貨危機が金融機関の不良債権の増加を加速させたのです。
当時のインドはマレーシアやタイほど通貨危機の影響を受けませんでしたが、自国通貨の価値
が大幅下落したことを機に輸出を大きく拡大させたため、国内の製造業が大打撃をうけました。
製造業が経営悪化し、それにともなって倒産件数も増加したことにより銀行の不良債権はさらに
拡大することになったのです。こうした問題は今も引きずっています。
日本の大手金融機関が十数年にわたって不良債権処理に苦しめられたわけですが、同じように
インドは今もこうした問題を抱えているので長期で投資する場合は注意が必要です。
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